ペルシャ絨毯 マシャッド

F様

リフォームに合わせて、無垢材家具と癒しのギャッベ展にお越しいただきました。
無垢の家具や一枚板などをご覧いただきお話をお聞きすると、築100年ほどの住宅をリフォームされたとのお話をしていただきました。

今までは裂き織りの布をマットとしてお使いだったのをもし良いものがあればと、ギャッベを見にご来店いただきました。サイズをお伺いすると、なんでも敷けるという事で、何枚かご用意して実際に玄関に敷いて比べていただきました。ナチュラル色のギャッベも綺麗でしたが、今回お選びいただいたトライバルラグ(田舎じゅうたん)がとてもしっくりきて、こちらをご購入いただきました。

ペルシャ絨毯は現在のイランで伝統的に織られている手織りの絨毯です。
地域により、歴史は様々ですが、産地ごとにその土地特有の図柄、織り方などが発展しています。日本で考えると、焼き物(陶器)がわかりやすいかもしれないです。備前は赤い土色でカンカンに焼いてある風合いですが、美濃・瀬戸は灰~茶系の土色で緑っぽい自然釉をかぶっていたりします。京焼はなんでもありです。


今回F様にお選びいただいた絨毯は、イランの首都テヘランから北東へ約1200km離れた所にあるトルクメニスタンとの境付近に位置する自然豊かな街、マシャッド産です。
輸出は少なくあまり国外では知名度のない産地ですが、イラン国内では使っている人が多いそうです。イランで一般的な絨毯はカシャーン・マシャッド・ナインだそうです。今回の絨毯は直線的なモチーフがメインですが、一般的には花のモチーフで一つ柄が大きいのが特徴です。マシャッドの西側にはトルキャマンという産地があります。こちらは直線的な図柄が特徴です。

マシャッドについてもう少しご紹介させていただきます。
山間地域で鹿やイノシシなどの動物の多い、自然豊かな地域です。サフランの生産が盛んでヨーロッパ等に輸出されています。羊の牧畜もとても盛んなため、他の産地へ羊毛を供給しています。また、毛皮の産地としても有名です。マシャッドの羊は毛が長く高密度なのが特徴です。一番現地で有名なのは、イスラム教の聖地として、イマムレザーという聖人の墓に各地から観光に来るそうです。


F様のお宅にお伺いして納得しました。とても広い玄関です。今回のじゅうたんで長さは約2.6mありますが、ゆうゆう敷くことができます。立派な梁と柱に日本の田舎の豊かさを感じます。この玄関はもともとは土間で牛舎だったところで、写真には写っていませんが、左側にかなり広いスペースがあります。牛4-5頭ならゆっくりくらいの広さです。
そこに今回のリフォームで玄関間をお作りになったそうです。

自然に時を重ねた深い味わいに包まれ、丁寧に直しの手が入り現代でも暮らしやすい空間に、今回の絨毯が少しモダンで異国情緒を感じさせながら馴染んでいます。その優しい風合いと色合いなのか、元々敷いてあったようにしっくりときます。F様ご夫妻もお店では色々迷っていらっしゃいましたが、実際ご自身の敷きたい所で比べていただき、すっとこちらのマシャッドをお選びいただきました。


F様、この度は誠にありがとうございました。